輝けシリンダ

〜カツ丼にささげた情熱〜 


建機のCG作成、それは難しい。
細かいパーツの作成。繊細な位置合わせ。
遅れる作業。苦労の連続だった。
プロジェクトを率いていたのは知欠ジョー。
ひた向きな闘志を燃やした指揮官だった。
これは、一人のアホの不屈の物語である。

♪にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃ〜にゃにゃ〜
#↑あの曲。


2001年1月14日。
知欠ジョーはCGページを開設した。
この時公開したのは DEMAG AC1600
まだキャリアの頭だけの公開だった。
その時の知欠ジョーは、迫り来る難関を知るよしもなかった。


2週間後の1月28日。
ようやくキャリアの全体像が追加された。
だがこの時、大きな問題が持ち上がっていた。


問題はこのアウトリガの油圧シリンダだった。
アウトリガ本体の展開に合わせて、シリンダは複雑な動きをする。


展開した状態だ。
シリンダとロッドの繊細な動き。
それを手作業で時間をかけてチマチマと合わせ込む。
思わず目が回り、腹は減り、1月の寒波で手足は冷え、
お年玉の放出で寒くなった財布がさらに縮み込む。
知欠ジョーは限界に近付いていた。

その上アウトリガは計4本もある。
1本でも大変なのに。
苦しさ4倍、手間4倍。
知欠ジョーはさらに限界に近付いた。

後方からのショット。
なんかAC1600の画像多いな。
新規画像のサービスショットや。光線の設定も変えたしな。どや?
画像作るのにはどの位かかるんや?
データ作成は済んどるから、一枚で1時間半から2時間や。
そんなにかかるんかい?
アングル決めたら、あとはパソコンまかせや。
出来上がるまで何しとん?
梅コブ茶でも飲んで待っとるわい。
そんな暇あったら新しいCG作らんかい。
ギクッ!!


……気を取り直して説明を続ける。

ここからは分かりやすいようにパワーショベルのサンプルを使う。
例えばブームの根元に回転軸を設定する。
そして黄色い丸印にあるスライダを動かす。
そうするとブームが動く。
そんな仕組みが知欠ジョーのCGソフトにはあった。

ここでシリンダの動きが問題となった。

左図では赤,青,緑の3か所にそれぞれ回転軸が仕込まれていた。

最初に赤の回転軸を動す。

するとブームが動いた。
だが赤を動かしても青と緑は動かない。シリンダは元の位置のままだ。

そこで青と緑の回転軸を動かしてシリンダをブームに合わせる。

ブームを動かすたびに、トイレに行くのも我慢して 0.1°単位の微妙な調整が続いた。画面を見つめる目には緊張が走り、我慢のし過ぎで背筋には悪寒が走った。

もう限界だ。なんとかしなければ。
イヤになってふて寝しながら、知欠ジョーはずっと考えていた。

そしてついに、知欠ジョーは立ち上がった。

パート2へ。


ついに立ち上がった知欠ジョー。
一体どうするつもりでしょうか?
立ち上がってトイレに行ったとか、そーゆーオチではないです。